【銚子】日本一の港町へ海鮮を食べに
2月11日、泊まりで銚子に行ってきました。
銚子は太平洋に突き出した国内有数の港町。ここ10年間は日本一の水揚げ量を誇っているそうです。そんな街には、当然美味しい魚が集まります。何度か訪ねたこともあるため、今回は犬吠埼や屏風浦の景勝地はパスして、魚を食べることを目的に行ってきました。
房総特急しおさいと銚子電鉄
公共交通機関による銚子へのアクセスは、バスの他に特急があります。高速道路の整備に伴って姿を見せなくなってきている内房・外房方面とは違い、銚子をはじめとした東総は未だ特急が健在です。
私は千葉駅から乗りました。
所要時間は約1時間半。車窓の風景は正直特筆すべき点はありません。谷津の多い千葉の丘陵地帯を駆け抜け、風力発電の風車が目立つようになると間も無く銚子です。
意外と乗客が乗っていました。銚子電鉄目当ての客も多そうです。
銚子駅に降りたのは5、6年ぶりのことだったかと思いますが、駅舎が新しくなっていて驚きました。
以前の赤い屋根の駅舎の方が風格があったなと思います。蔵をモチーフに灯台の白で塗ったそうですが、説明を見てもピンと来ません。
内装は綺麗でした。経年でどう変化していくかですね。最近、こういう木材剥き出しの内装を割と見かけますが、昔の建造物みたいな味わいのある色になっていくんでしょうか?あるいは、防腐剤を塗ってあって基本色は変わらないのかもしれません。
さて、駅舎も見たので目的地の犬吠駅に向かいます。
2両編成とはいえ、車内は立ち客が出るほどの混雑ぶりでした。当日は天気が良く、観光客も多かったようです。経営に関してしばしば話題に上る電車ですから、賑わっているのを見るとこちらまで何となく嬉しくなります。
終点一つ手前、犬吠駅で下車します。ここは銚子電鉄で一番大きい駅で、有名なぬれ煎餅の他、各種土産を販売しています。
そして、目指すはこの犬吠駅の目と鼻の先にある「島武」です。
島武水産(外部のページに遷移します)
店舗外観の写真を撮り忘れたので、3年前の写真引っ張ってきました。外観は変わっていなかったように思います。
暖簾にも書かれているとおり、店に入ったタイミングで座敷で食べる「さかな料理」かカウンター主体の「回転寿し」を選ぶことになります。
魚料理も絶品とのことですが、私は回転寿司しか頼んだことがありません。
複数人だったら座敷もいいかもしれないですね。
ここの寿司は、回転寿司とはいえ、さすがは銚子だけあってどれも美味しいです。
光り物は北海道や北陸を含めて考えてもかなりのものじゃないかと思っています。
ただカンパチはそんなでもなかったかな…
それと、千葉は意外と地酒があります。丘陵地あたりだと水が湧いているからでしょうか。寿司に合う、香りの余り強くないクセのない酒でした。
お腹もいっぱいになったので、市街地の宿に向かいます。
旅館 大新
銚子駅から利根川に向かってまっすぐ伸びる道を歩き、川に出たら右手に進むと、今回泊まった「大新」があります。創業を江戸時代中期まで遡るという老舗の旅館でした。
www.choshikanko.com(外部のページにリンクします)
建物自体は戦後のものと思われますが、増改築が重ねられていて内部はかなり広いです。ラウンジや宴会場の大広間などがありましたが、いずれも現在は使われていない様子でした。
おそらく犬吠埼の方で経営しているホテルニュー大新が主体になっているのでしょう。
旅館の方はもっぱら、昼間は地域住民の銭湯がわり、夕方からは運送業のドライバーが宿を求めて来ている様子でした。私の独占かなという目論見は外れました。
部屋は1階と2階にあり、いずれも風呂はもちろんトイレもついていない古式ゆかしい客室です。
このラジオ、驚いたことに現役でした。つまみを回して針を動かしてチャンネルを合わせるなんて動作、いつ以来だったでしょうか。
このラジオがとても印象に残っています。まるで時代を超えて届いた音声であるかのような感覚、周囲の光景も相まって、自身が過去に戻ったかのような錯覚が楽しいです。流れている音声がオリンピックの実況だったのも、どこか時代がかった空気を演出していました。良い経験をさせて貰ったなと思います。
さて話を旅館に戻すと、大新は元々は料亭でもあったようで、グーグルの口コミを見ると料理に対する評価も高く、是非頼んでみようと考えていました。ただ、聞いたところでは2022年2月現在は素泊まりのみとなってしまっているようです。残念です。
旅館の近くに評判の高い食事処があったので、そこに夕飯を食べに行くことにしていたのですが、その前に遠回りして銚子大橋に行きます。
こうして見ると、市街地は海に面しているというよりは、川べりに発達した街なんですね。
歩いて渡ると戻ってくるのも億劫そうだったので、途中で引き返しました。お腹もいい感じにこなれてきましたし。
食事処「鈴女」で夕飯を食べました。写真は撮り忘れです。
海鮮丼を頼みましたが、量が多くネタも豊富で満足のいくものでした。ただ、魚の味は昼に行った島武の方が良かったと思います。お酒も地酒は置いていませんでした。
店内の客の話を聞いていると、この店もドライバーがよく来ているようでした。漁港だけあって、運搬するトラックのドライバーが多く集まっているんですね。
宿に戻り、風呂へ向かいます。短い内廊下で繋がっていますが離れになっているようです。
浴槽の中は普通のお湯。でも、意外と温泉でなくても、広い浴槽で足を伸ばすだけで気持ちがいいものでした。
風呂から上がったら、なんだかんだ疲れていてすぐに就寝。
裏手が通りになっているのですが、夜は静かなものでした。
銚子の朝
外が明るくなるにつれ、自然と目が覚めます。
朝日に照らされる利根川をボーッと眺めていると、おもむろに聞き覚えのあるメロディーが街中に鳴り響きました。
流れているのはシューベルトの野バラ。もしやと時計を見れば、時刻は午前7時を過ぎたところでした。
銚子では、朝の時報に野バラが流れるのだなぁ…。
街なかに泊まることの楽しみの一つは、やっぱりその街の朝の顔を見ること、聞くことだなと思います。お寺の朝業だったり、子どもたちの声だったり、知らない街の誰かの日常が脇を掠めて行くとき、その街に来ているなぁという深い実感があります。
今回も、犬吠の温泉ホテルに泊まっていたら野バラを聞くことはなかったかもしれません。朝焼けはさぞ綺麗だったでしょうが、いつもとはちょっと違う日常に寄り添ってみるのもいいものです。
ただ、朝7時で防災無線で音楽を流すのは初めてだったので驚きました。曲のチョイスも含めて私は好きですけど。
まだ日も登りきっていませんが、午後には帰宅したかったため、朝の内にチェックアウトします。
振り返ってみると屋根に飾りの破風(こういうのを千鳥破風というらしい)を設けた母家が見えます。恐らくあそこが本館かなと思いますが、行けずじまいでした。
旅館から銚子駅までは歩いて10分程度です。
この角の蕎麦屋が朝からいい匂いを立てていました。次銚子に来たら、ここでご飯を食べようと決めました。
駅では大学受験と思しき生徒が、両親に見送られて特急に乗っていくところでした。
ホームでは、ちょうど銚子電鉄が出発するところでした。この時間だと観光客の姿はありません。乗客はいるのかいないのか、電車はゴトゴト走っていきました。
遠ざかる姿を見ていると、この光景が残っていてほしいなと思います。普段は交わることのない風景ですが、誰かにとっての日常の景色が続いていってほしいなと。そして、時々そこにお邪魔できたらなと。
ですので、わずかながらも一助になれば嬉しいですし、また銚子の美味しい魚を食べに行きたいと思っています。
今回はここまでとなります。
お読みくださり、ありがとうございました。